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闇夜に輝く

第40章 後始末



3人共無言のままタバコの煙だけがゆらゆらとその場を漂う。

そして不意に増田さんが話し始める。

「海斗もこの業界に入って1年か。突然キャストが居なくなることは普通だよ。だけど担当を持つようになると辛いよなぁ。でもそういう世界だから慣れるしかないよ」

「はい。でも…」

これまでのツカサさんとの事が思い出される。
決して売れっ子キャストだった訳ではなかったが、海斗にとっては大事な担当キャストだった。
会話が下手で身体を触らせるしかなかったツカサさんは、周りのキャストからあまり良くは思われていなかった。
ミーティングものらりくらりで自分に甘いところが多かった。
それでも、自分から進んで同伴しようとしてくれた。
だけどあまり上客を持っていなかったから危ない客を選ぶしかなかった。
きっとツカサさん自身も自分の評価を変えたかったのかもしれない。

海斗は気付いた。
無理をさせたのは自分なのかもしれないと。

「もし、ツカサさんから連絡が来れば、俺は力になってやります。たとえ危ないと思えることでも」

「海斗…」

海斗はじっと増田さんを見つめる。少し困ったような顔をする増田さん。

「ったく、お前の目は眩しすぎんだよ。だけど、そんな真っ直ぐじゃお前自身が傷つくぞ。普段はドライな癖に決めた事には熱くなるんだな。しょうがねーなぁ、坂東」

「はい。でも俺は海斗のそういうとこが気に入ってます。相良のこともある程度は話してもいいんじゃないでしょうか?」

「まぁ、裏社会の噂話を興味本位で知りたがる奴じゃ無いしな。必要な情報だけは教えておくか」

それから海斗はこの業界の常識を知った。



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