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闇夜に輝く

第40章 後始末



その様子に坂東さんが拍子抜けしたような顔で二人を見ると、

「とりあえず、…座りましょう」

と提案する。

すると増田さんはどかっとVIP席のソファに座った。
海斗も転がった丸イスを戻し、無言で増田さんの前に座りなおす。
それを見て坂東さんも二人を交互に見ながら元の場所に座った。

増田さんが先程とは違い、穏やかな口調で語りかける。

「理不尽だよなぁ。じゃあ問題だ。ヤクザに理不尽な要求をされたらどう対処するんだ?」

海斗は無言のまま答えない。正確には答えが見つかっていなかった。

構わず増田さんは続ける。

「さっきの海斗が正解だよ。ビビらず、屈せず、応えず、耐えるだ」

その言葉に海斗の疑問が更に増す。
喋ろうとすると口の中が切れているのが分かったが構わず話す。

「でもそれで解決するんですか?」

「解決にはならない。だが、ああいう輩は常により弱い獲物を狙っている。あの手この手で揺さぶりをかけてくる。弱いやつらは他に一杯いる。別に強くなる必要はないんだ。弱くなければいい。そうすれば離れていく。忘れがちなのはヤクザの方が社会的には弱者だって事。それを隠すために暴力という服を着る。坂東も覚えておけ。お前はビビらず屈しないが、やり返しちまうからな。そうすると相手の思うツボだ」

「…はい。気をつけます」

急に話を振られた坂東さんは渋い顔をしながら答えた。

増田さんは更に続ける。

「それから、ヤクザは弱者だけど、ヤクザ組織は決して弱者ではない。金も権力もある。そこは間違えるな。だけど、組織自体が店に理不尽な要求をする事はない。その辺の事はウチの会社の執行部がちゃんと対処しているからな。だから、店単位でヤクザ個人の要求に応えてはいけないんだ。話がややこしくなるからな」

「…わかりました。でもツカサさんはどうなるんでしょうか?」

海斗はヤクザと積極的に関わろうなんて思わない。
でも今はツカサさんが巻き込まれている。
自分に何か出来る事はないか知りたかった。


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