闇夜に輝く
第41章 冬のとある日
そこまで考えた時、海斗にも当てはまると気付いた。
家庭は貧乏ではなかったが、安らぎは皆無だった。
家族関係が破綻していた。
いがみ合い、不満と喧嘩の毎日であった両親。突然現れた妹。ギクシャクしたまま過ごした10代。
何もかも放棄して自分の事だけ考えていた。
家族という括りが破綻してからは妹と少しずつ家族というものを模索していた。
そしてその範囲が担当キャストへも広がっている気がする。
自分の居場所を模索しているのは、妹の若菜と同じだった。
だからキャストが離れていくのは余計に辛い。
そんな事を漠然と考えていた営業中のある日、結衣菜さんから連絡があった。
高校生だった事が発覚して退店した結衣菜さん。
月に一度近況を知る為に増田さんから会うことを厳命されている。
もちろん、怪しいバイトをしていないか監視する目的もある。
明日がその日の予定だった為、待ち合わせの時間や場所をどうするか結衣菜さんからメールが来ていた。
海斗は増田さんに休憩の許可を取り、バックヤードで結衣菜さんに電話をする。