闇夜に輝く
第44章 幕間 想い
立て続けにナンバー1とナンバー2を失った。
けれど、3ヶ月後にはその倍の売上を理子一人で叩き出した。
それ以降、理子に文句を言うキャストは居なくなる。
そこから理子の孤独な戦いが始まった。
1年が経つと、理子が席に付く事が客のステータスとなっていた。
また、理子はどんな客の前を通り過ぎる時でも会釈を欠かさない。その優雅で上品な姿に客もキャストも見惚れてしまう。
理子は見えない努力も欠かさなかった。
実は理子もこのゴルフ練習場の会員になっている。
腕前もお客さんと一緒にコースに出ても迷惑にならない程度の実力がある。
野球やサッカーもルールや日本選手は勿論のこと、メジャーリーガーや欧州サッカーにも精通している。
また、相撲、ラグビー、アメフト、F1、テニスにも詳しい。
音楽は昔の歌謡曲、演歌、洋楽、ブルース、ジャズ、ファンクなどの有名どころはおさえている。
なのでお客さんとの同伴はゴルフを一緒にい回ったり、野球、サッカー、相撲などの観戦をしたり、誰かのコンサートを観たりと、バリエーションに富んでいる。
それから英語、ドイツ語、フランス語、中国語も勉強し、ある程度習得している。
よって外資系企業の指名客にとっては、接待に欠かせない存在となっている。
政治経済に関してはわからないフリをしているが、理子は某一流私立大学へ通っているので知らないはずはない。
しかし、それらをひけらかしたり自慢したりはしない。当たり前の嗜みとしている。
それを武器にするつもりが微塵も感じられない。
フッと増田が自嘲気味に笑う。
自分がしたことといえば、助言だけ。
それをすぐに取り入れて自分の物としてきたのは理子自身だった。
打てば響くという言葉がピッタリと当てはまっていた。