闇夜に輝く
第45章 闇夜に輝く夜の蝶
そうして、怒涛の3月営業が始まった。
海斗の担当キャストで
会社員や公務員の指名客が多いのは
リン、咲。
大企業の重役クラスの指名客が多いのは
美香、ミキ。
中小企業の社長や自営業の指名客が多いのは
サラ、ナナ。
怪しい金融関係や飲食店経営者、IT企業の青年実業家などの指名客が多いのは
杏奈。
顧客で人事異動の有無が予想される指名客が多いキャストは
リン、咲、美香、ミキ。
海斗はこの4人と重点的にミーティングを行い、送別会や昇進祝いなど漏れがない様にしていく。
それは指名客のみならず、その上司や部下にまでケアしなければならない。
おかげで海斗は毎日のようにキャストの代わりに男物のブランド品を買い漁る日々が続いた。
ネクタイ、靴下、下着などの定番から、ゴルフウエア、ジッポ、ボールペン、メガネケース、パスケースなど。
海斗はキャストに頼まれるまま、指定された商品を購入し、後から精算していく。
その過程で、1万円以上もするブランド物のスマホケースが存在する事を初めて知った。
キャスト達は渡したプレゼントの金額をその日の売上バックで回収することにも余念がない。
それと並行して、理子さんの指名客の引き継ぎにも力を入れる。
中でも入ったばかりのナナさんはまだ自分の指名客も少なく、理子さんの席に着く頻度が高い。太客を獲得する絶好のチャンスとなった。
また、客席以外ではあまり他のキャストと話をしない理子さんがナナさんとはよく話をしている。
接客中も理子さんとウマが合うのか、その席が盛り上がり、そのままナナさんの場内指名が入る事も多い。