闇夜に輝く
第45章 闇夜に輝く夜の蝶
そんな寿司屋の大将夫婦を皮切りに、周辺の飲食店経営者が続々と理子さん指名で来店してきた。
みな、店を若い従業員に任せて、ちょっとだけ飲んで、シャンパンを開けてまた自分の店に戻っていく。
一人で切り盛りしている店のオーナーは早目に店を閉めてしまった人も多い。
おかげでこの周辺で今日のみ臨時休業の飲食店が増えてしまったらしい。
深夜になり、近くのバーのオーナーが、理子さん指名で来店したが、多少の愚痴も混じっていた。
どうやらこの辺で開いている店が少なく、そのオーナーの店も平日にも関わらず大繁盛らしい。
なのに、これ以上遅くなるとニューアクトレスが閉まってしまうと思って、強引に店を抜け出してきたと言っていた。
けれど結局、30分程で従業員から鬼の様に電話があり、渋々帰っていった。
目まぐるしく客が入れ替わってしまい、通常の付け回しが全く出来なかったが、お客さんも納得済み。
この街の飲食店仲間みんなが、理子さんに対しての最後の挨拶と、今まで同伴やアフターで懇意にしてくれたお礼を言いに来ていた。