闇夜に輝く
第46章 黒服と担当キャスト
海斗は飛びたした会社の重鎮の名前に驚いた。
何故なら先日初めて面と向かって挨拶をしただけだ。まともに話した事すらない。
驚いた表情の海斗を見て増田さんが面白がって説明する。
「先月、社長達が来ただろう。うちの店を詳しく調べていった結果、好調な理由の一つに海斗の存在があると認識し始めた。そして更に、橋本組長からも海斗の名前が出たらしい」
「ええっ??橋本組長って…、この前、社長達と一緒に来た人ですよね?意味がわからないんですけど」
「ククク、原因は優矢だよ。先月ずっとうちの店をフルで手伝っただろ。あいつは顔が広いから、毎月色々な人と飲みに行く。その中にうちの社長連中も含まれる。更にはあの橋本さんやその若頭をしている後藤さんもな。みんな優矢と飲みたいのに先月は全然付き合ってくれない。お偉いさん達に問い詰められた優矢はサラッと『海斗さんとニューアクトレスで働くのが楽しいから』と言ったらしい。んでこの前、海斗がどんな奴なのか気になってみんなで見に来たんだと」
「……。優矢君て何者なんですか?」
「はぁ、俺にも分からん。だが、見てるこっちがハラハラする奴だって事は確かだけどな」
呆れ顔で眉間にしわを寄せる増田さん。
海斗も先日、社長達が来た時の優矢君の対応や態度を思い出し、増田さんの気苦労が少し分かった。