闇夜に輝く
第48章 エースとして
また、出勤調整に関してもテクニックが必要。
例えば、当日欠勤したキャストに対して罰金を減額する代わりに、キャストが足りない日に振替出勤してもらうようにする。
それに加えてもう1日出勤数を増やしたら罰金免除を考えると提示。
その際に、そのキャストに恩を売るように仕向ける。
要は、軽々しくキャストに当日欠勤しても足りない日に振り替えてもらえばいいやと思わせない。
あくまで、渋々罰金を免除してあげるという振りをしつつ、そのキャストの出勤日数を増加させる。その駆け引きが重要になってくる。
また、当日欠勤の連絡があっても怒らない。心配もしない。どちらもキャストの心理的負担となる。
なぜなら、体調不良で休む割合と、ズル休みの割合は半々かズル休みの割合の方が多い。
元々真面目な性格の人間が少ない業界。
中学や高校で皆勤賞だったキャストなんて皆無。
なので、ズル休みの時にあまり体調を心配しすぎるとキャストに罪悪感が生まれる。
普通の人は、仮病なのに心配させて申し訳ないからズル休みは止めようと思う。
しかしキャバ嬢という人種はそれを、面倒くさいなぁと感じる。
そうなると次は当日欠勤の連絡が遅くなり、そのうち無断欠勤、そして最悪、退店となりかねない。
なので、罰金制度を設けてズル休みを抑止しているが、それはキャストに対する逃げ道でもある。
一定のお金を払えば休む事も許される。
そうやって突然休む事への罪悪感を和らげるようにもしているのだ。
ではその日の不足したキャストをどうするか。
前に当日欠勤した別のキャストに連絡をして、今日出勤出来たら前回の罰金を免除するよと提案する。
その際もお願いはしない。あくまで提案。
下手に出すぎると、どうせ振替出勤で罰金がチャラになると思われて、当日欠勤の頻度が増す。
『飴と鞭』
基本的には規則に厳しくするが、店側のメリットになる働きを提案しそれを受け入れてくれるのであれば、多少のワガママを許す。
こういった飴と鞭を使い分けた出勤調整の手腕がないと、毎日安定してキャストを揃えることが困難になる。