闇夜に輝く
第48章 エースとして
もう一つ海斗には問題が残っていた。
それは担当キャストに関して。
理子さんが辞めてからは週替わりでトップが入れ替わった。先月の最終順位は
指名売上1位 杏奈
貢献度1位 美香
本指名数1位 リン
同伴数1位 咲
場内指名数1位 ナナ
と各部門で1位が違う状態。
そして全て海斗の担当キャストだった。
しかし、結衣菜さんとサラさんはAランクには入れなかった。
杏奈さんは先月とうとうナンバー1となったが、その差は僅か。
今月は猛烈な勢いでナナさん、美香さんが売上を伸ばしている。
苛烈なトップ争いによってトラブルも頻発。
この日も杏奈さんから相談された。
「海斗さんちょっと困ってんねんけど」
「どうした?」
「あんな〜、杏奈のお客さんで和田さんいるやろ?」
「うん。いつも2人組で来る証券会社の人でしょ?もう一人はミリオさんの指名だったよね?」
「さすが海斗さんやな。せやねんけどなぁ、同伴の時にいつもミリオさんおらんねん。仕事が忙しいのは分かるんやけど、こっちは夕方から一人で食事やらカラオケやら付き合ってんのに、結局店での売上成績は折半やろ。しかも店に来るかは和田さん次第やし。何か納得いかんのよね」
こういう事はよくある。
2人組の客や3人組の客に対して複数のキャストが指名をもらっている場合。
キャスト同士が協力して来店に繋げているならば、このような不満は少ない。
けれど今回はミリオさんの便乗指名の感が強いのだが、本指名には変わりはない。
なので店のルール上、売上成績は杏奈さんとミリオさんの折半となる。
しかも今回の場合は杏奈さんの指名客である和田様が上司な為、全ての支払いが和田様なのである。