闇夜に輝く
第49章 衝突
結衣菜さんは感情の起伏が激しい。不機嫌だったり、怒ったり、泣いたり。そして今は甘えモードで反省の態度を絶賛アピール中。
でもこれは計算ではない。相手の雰囲気に合わせて自然とそんな行動が出来てしまうのだ。
「ごめんごめん、でも考えてたのは可愛いい結衣菜の事だよ」
「うぇ?これでも可愛い?」
そう言って結衣菜さんは両手でほっぺを下に下げて変顔をする。
「そうやってすぐに笑わそうとする。結衣菜には色恋営業はムリなのかな」
「結衣菜にはムリ〜。だって口説かれると背中がかゆくなっちゃうもん」
結衣菜さんはあっけらかんとしているが、色恋営業が出来なきゃキャバ嬢として先は無い。
「はぁ、困った子だねぇ。じゃあ結衣菜の得意な営業スタイルってなんだ?」
「ん〜、ワイワイ騒ぐ系?友達営業とかかなぁ」
「じゃあ、ピンの客やおじさんの接客はどうすんだ?」
「ん〜、早目に海斗さんが呼んでくれるのをこうやって願う」
結衣菜さんが目を瞑り、手を合わせて拝むような仕草をしたので海斗は軽くチョップをする。
目を瞑ったまま、頭をさする結衣菜さん。
海斗は気を取り直して先程思いついたキーワードを話すことにした。
「えーと、結衣菜は妹キャラって知ってるか?」
「妹キャラ?あれでしょ。おに〜ちゃぁんって甘える奴でしょ?」
「…ちょっと間違った情報がインプットされてるみたいだな。要は、今のこの会話の感じだよ」
「今?」
「そう。俺との会話でおに〜ちゃぁんなんて言ってないだろ。でも今は完全に妹っぽいんだよ」
「???」