テキストサイズ

闇夜に輝く

第49章 衝突




海斗が話を続ける。

「結衣菜さんはなんというか、怒られ上手なんだよ。客の中には誰かに説教したがる人もいるだろう?特に年配の人。だから年配の人の接客ほどドンドン攻めていいよ。そこであえて説教されるような話題を引き出してもいい。結衣菜さんは多少の失礼があってもすぐに挽回できるような表情や仕草を感覚的に身につけてる。要は怒られ慣れてるから許してもらう術も知ってる。そこを逆手に取って散々説教された後、応援してあげるから頑張りなさいとまで言わせるんだ。結衣菜さんにはそれが出来る。普通はクレームになって終わるんだけどね。また、人生経験が豊富な人ほど結衣菜さんの素直な性格や少しづつ成長していく結衣菜さんの変化も分かってくれるはずだよ。逆に20代、30代の接客の時はちょっと言動を抑える感じで。この辺の客層はまだ結衣菜さんのおバカな言動に対して面倒だとか生意気だとかのクレームになりかねない」

「えー?結衣菜って若い人の方が合ってるのかと思ってた」

「もちろん多人数でワイワイ騒ぐ時は結衣菜さんの本領を発揮できてる。でもそれも盛り上げなきゃと思わなくていい。結衣菜さんは普通で十分なんだよ。元々が明るい子なんだから。でも必要以上に盛り上げようとすると逆に下品で騒がしい感じになっちゃうから」

「う〜、ダメ出しばっかりだぁ。結衣菜はもっと出来る子だと思ってたのに!」

「もっと出来る子だよ。だけど方向性を勘違いしてただけ。勘違いは結衣菜さんの得意分野じゃん」

「それ褒めてる?」

「褒めてるよ。俺にはこれからの結衣菜さんがちゃんと見えてる。だけどそれには今まで結衣菜さんが面倒だと思って敬遠してた客がメインターゲットになる。でもしっかりと取り組んでくれればもっと褒めれるね。それにこれは俺が提案したことだから結衣菜さん任せにはしないよ。上手くいかないときは相談にのるから」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ