闇夜に輝く
第2章 週末の夜
『5番さんに乾きもの出します。あと5分ぐらいが限界だと思います』
『OK、よくやった。すぐ出してやれ。坂東聞いたか?楓はあと10分は引っ張れるぞ!』
付け回し担当の坂東主任もその呼びかけに応える。
『了解です!いま楓さんがついている14番テーブルがチェック入りましたので清算お願いします』
『OK!清算終わり次第、さっさと立ち上げで!』
『了解しました!』
( 5分って言ったのになぁ… )
きっと楓さんが戻ってくるまでに10分。ヘルプキャストも足りない。
その間、あの客との場つなぎはボーイである海斗が対応しなければならない。
手際よくおつまみを作り、また5番テーブルへ戻る。
「お待たせ致しました。只今、楓さんがついていたテーブルのお客様がお帰りになられますので、お見送りが終わりましたらすぐ戻します」
海斗は心底申し訳なさそうな表情を作り、客に伝えた。
乾きものを置き、客のグラスを拭いて、氷を足す。