闇夜に輝く
第51章 黒服として
海斗は最近のサラさんの事を思い返す。
3月の成績でトップ10入りをしたが、その後は上位に入れていない。
サラさんの接客も太客狙いがミエミエで接客にムラがあるのを感じていた。
太客には必要以上に媚びた態度をし、細客にはドライな接客をする。
実はこれが見事に不正解。
なぜなら、金をたくさん使う遊び慣れた太客は、女に媚びられることに慣れている。
会社でも地位が高く尊敬される事は当たり前。
なので、違いを出さなければならない。
例えば中々なびかない女を演じるとか、ハッキリ好き嫌いを表すとか、普段は強がらなければいけない立場な事を察して弱音を吐かせてあげるとか。
そうして、太客が普段接する人とは違う女性を演じなければ指名には繋がらない。
それにお金持ちは身を滅ぼすまでは飲み代にお金を使わない。
目先の欲に溺れないからお金持ちなのだ。
だから見栄や格好をつけなくても長い付き合いが出来そうなキャバ嬢を求めている。
一見、自由に遊べる金額が一般的なサラリーマンとは違うので派手に使っているように見える。
けれど太客は、その金額に合う価値を見定める冷静さを忘れない人が多い。