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闇夜に輝く

第52章 捜査



その時間を使い、海斗も考える。

相良とツカサさんがまだ繋がっていた事にも驚いたが、なぜツカサさんが警察にウソをついたのか。
実際には相良とツカサさんは店で出会ったわけではない。
なのにそうしなければならない何かがあるのだ。

現段階ではまだツカサさんがこの事件の被害者なのか加害者なのかもわからない。

けれどどちらにせよツカサさんの不利になるような事を口走る訳にはいかないという想いがある。
しかし、警察の口振り、雰囲気からただの軽犯罪とも思えないのが不安なところ。

なので一歩間違えれば本当にこの店も捜査の対象となりかねない。
警察の情報を少しでも聞き出し、慎重に話を進めていかなければならない。

そんな事を考えていると、受話器から刑事の声が聞こえてきた。

「筑波さんのお立場はよくわかりました。捜査情報に関して他言しないと約束してもらえますか?」

「軽々しく人に話さないのはこの商売の基本ですから、約束は守りますよ」

海斗のその言葉に暫く無言が続いたあと、また刑事が話しだす。

「本当は違反なのですが、辞めてしまった従業員の情報にもこんなに慎重な対応をされている筑波さんを信頼してもう少しお話しします。その代わり知っている事を話して下さい」

「わかりました」

こんな電話対応だけで信頼出来るとか訳がわからない。

どうせ大した事じゃないのに、些細な情報すらも出さないのは警察の隠蔽体質そのもの。基本的にどんな事も隠しておけば不祥事もバレにくい。
話すと言っても核心をボカされるに決まっている。

そうなればこちらも相応の受け答えをするまでだ。



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