闇夜に輝く
第52章 捜査
しかし、そうタカを括っていた海斗の耳に飛び込んできたのはかなり重めの衝撃だった。
「今ですね、オレオレ詐欺の受け子の容疑でツカサさんを逮捕しました。その証拠の裏取りの過程で相良との接点が上がっているんです。その捜査の電話なんですよ。相良に関して何かご存知ないですか?」
「ツ、ツカサが受け子…ですか。…ざ、残念です」
一瞬、思考が止まる。
これはまじでヤバい案件だ。
警察の本気度がヒシヒシと伝わってきた。
「いいですか、ここまで話しを聞いておいて、不審な受け答えしかしてもらえなければ、筑波さん自身やあなたのお店も調べなければならなくなりますよ」
電話越しの警察の圧力が一層強まった。
海斗は判断を間違えないように一呼吸置き、慎重に話す。
「ツカサは店ではとても真面目でした。私には全く思い当たる節がありません。それにうちの店は顧客の管理を徹底しています。なので相良という名前の指名客やそれに似通った風貌の指名客は来店していません。またそういった方は入店前にお断りしています。ツカサはうちの店以外にも働いていた経験があります。なのできっと他の場所で知り合ったんだと思いますよ」
「…そうですか。お話し頂き有難うございます。また、何かありましたらよろしくお願いします。それから、この事は他言無用でお願いしますよ」
「……はい」
そして電話が切れた。
海斗は子機のボタンをそっと押し、電話をキャッシャーに戻す。
「ちょっと外でタバコ、吸ってきます…」
「おう。営業が始まるまで休んでてもいいぞ」
相良という名前で何かを察した坂東さんは、何も聞かずに海斗が外に出るのを許可した。