闇夜に輝く
第53章 色管理
そのまま店内に案内される。
入口は全面ガラス張りで店内奥まで全て見わたせる作りになっていた。
内装は白を基調とした店内に、ダークオークのシックなインテリアの数々。
所々に明るいオレンジが差し色に使われ、暖かみのある間接照明と相まって重厚感を和らげつつ、高級感とオシャレな感じを上手く融合させる工夫がなされている。
入口から真ん中が通路。
左サイドに普段であればテーブルと椅子のペア席、もしくはシングル席が配置されているのだろう。
今はその椅子やテーブルがパーティ用に全て端に寄せられていた。
右サイドは多人数で利用できそうなソファ席が4つ並んでいる。
通路を進んだ一番奥にはカウンター席が6席。
カウンター後ろの棚には様々な種類のお酒が並ぶ。
深夜帯はBAR営業もする予定なのかもしれない。
女性同士でランチをする、もしくはデートでディナーを楽しむ。
その姿を店外の道行く人々に見せつけるような店構え。
店のコンセプトは明確だ。
20代後半〜40代の女性客のニーズにここまで特化していると、ある意味感心する。
しかし、男性客は女性と一緒でない限り入ろうとは思わないだろう。
パーティに来ている人々も女性が6割、男性が4割といったところ。
男性が少ない中で、海斗は特に若い。
悪目立ちしないようにグラスシャンパンを受け取ると、そのまま一番奥のカウンター席に座った。
どうやらこの日は、オーナーが知人友人を招待しているらしい。
これといった催しもなく、周りの人々と雑談をしながらお酒と軽食を楽しむ。
海斗は主に女性から話しかけられ、サラさんは男性から話しかけられていた。