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それまで黙っていた増田さんが話しだす。

「この件に関しては坂東の方から担当を替える事を相談された。それに今の楓のままでは店にとっても危うい。だから俺も了承した。これはもう決定事項だ。山田はミリオ担当の経験からジャジャ馬キャストの手綱をコントロールするのが上手くなっている。きっと楓との相性も良いはずだ。それから海斗、付け回しに関してあまり口を出したくはないが、楓に対しては神経質になりすぎだ。キャスト間のトラブルを怖れて付け回しをするんじゃない。今後は客との相性を優先しろ」

増田さんは何の感情も読み取れない淡々とした口調で担当替えを言い渡した。

海斗はそんな増田さんの振る舞いにどうしても納得がいかない。

海斗にとって担当キャストはビジネスパートナーという括りでは図れない関係だと思っている。

それは坂東さんと楓さんの関係にも当てはまるはずだった。

そして更に、現場の空気感を無視した付け回しに対する指示にも不満があった。