闇夜に輝く
第11章 優矢くんの秘密 〜約一年前の出来事〜
瑠璃は高ぶる気持ちを落ち着かせるように、グロスを塗りなおす。そしてスマホに目をやり、時間を確認した。
待ち合わせの時間までもう少し。2週間ぶりに優矢が遊んでくれることが嬉しくて昨日はなかなか寝れなかった。
キョロキョロと辺りを見渡してから、今度は巻きおろした髪をさわりチェックする。
すると横から声がかかった。
「おはよー。待った?」
涼やかな中にも愛嬌のこもった声の方に目を向けると優矢がいた。
黒のジャケットに白いVネックシャツに黒いダメージジーンズ。赤と黒のラインが入ったコンバースの靴。
シンプルな服装なのにも関わらず、すごくお洒落に見えるのは、日本人離れした足の長さと引き締まった筋肉質な身体のせいなのだろう。
そして派手すぎないアッシュ系の髪色と、目鼻立ちのはっきりした顔。
少しだけ裾を捲くったジャケットからは前に瑠璃がプレゼントした皮製のブレスレットが浅黒い腕に巻かれている。
今にも抱きついてしまいたい衝動を抑えながら瑠璃は優矢を見上げた。
不意に優矢の手が瑠璃の顔に近づく。
「今日のその髪、女っぽくていいね」
優矢はそっと瑠璃の巻き髪に触れる。
そのしぐさがあまりにも自然すぎて瑠璃の言葉が詰まる。
「あ、ありがとう」
瑠璃は顔を真っ赤にしながら答えた。
そんな瑠璃のドキドキをよそに普段と変わらない優矢が歩き出す。
慌てて瑠璃もついていく。