闇夜に輝く
第11章 優矢くんの秘密 〜約一年前の出来事〜
「じゃぁ、お前はこれから先どうやってお嬢さんを守ればいいと思うんだ?」
小松崎は、先程までの感情的な態度が一変して冷静な口調になったのにも関わらず、凄みは増していた。
しかし優矢はその圧に微塵も臆することはなかった。
「別にガキじゃないんだからお守りも何もいらないでしょ。それからあんたらが軽々しく動かないことじゃないでしょうか。こうやっていちいち動いていたら瑠璃の存在自体が組にとっても弱みになりますよね。付け込まれる要因になるんだったら助けなきゃいいんすよ。この街での夜遊びには多少の危険は付き物でしょう。それで瑠璃自身が怖いと思ったり、誰かに迷惑がかかると思えば夜遊びなんかやめればいいんですよ。だけどこうやって組が動いてくれるって瑠璃自身も思ってるからいけないんです。だから簡単に組に頼る。そしてこうやって組も動く。利害で動く人間が瑠璃の周りには多すぎです。俺はたとえあんたがたに文句を言われようとも一人の女の子として接していきます。けど、瑠璃に本当の友達を作らせる為にも組の人間が出張っちゃだめだと思います。瑠璃本人は魅力的な子です。けど怖れられてる。そんなんじゃまともな友人関係なんか作れない。普通は対等な立場でお互いが助け合っていく中で友達って増えていくんじゃないですかね」
そう淡々と答えた優矢。
ジッと睨みつけたまま動かない小松崎。
驚きの表情のまま固まる後藤。
直立不動のまま動かない入口の護衛。
小松崎の腕を掴んだまま、しくしくと泣いている瑠璃。
数秒、事務所内に瑠璃の泣き声だけが響いていた。
小松崎は少し考え込んだ後、瑠璃の頭をポンポンとなでた。
「お嬢さん、なかなかいいお友達ができたじゃぁないですか」
感慨深げに話しかけると、そのまま泣いている瑠璃を抱きかかえてイスに座らせる。
そしてまた優矢の前に来た。