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闇夜に輝く

第11章 優矢くんの秘密 〜約一年前の出来事〜


「お前、若いのにしっかりしてるなぁ。お嬢さんをよろしく頼む。これからも友人としてお嬢と接してくれるかい?」

おもむろに、二代目北条組組長が18歳の高校生に向かって頭を下げた。
その光景を驚愕の表情で見つめるおっちゃん改め橋本組の後藤。
そして入口に立つ護衛も初めて表情を変えて驚いていた。

「はい。誰になんと言われようとも今までどおりです。俺は瑠璃の友人ですから」

優矢は人を惹きつける爽やかな笑顔と優しい口調ではっきりと言い切った。

すると小松崎は今までの険しい表情がウソのようにニカっと笑った。

「そいつはありがてぇ。そいじゃぁ、ちょっと歯ぁ食いしばってみろ」

そう、笑顔のままおもむろに小松崎が呟いた瞬間、左ストレートが優矢の顔面にめり込んだ。

優矢は後ろにあった衣装ケースを巻き込みながら吹っ飛んだ。

「俺に一丁前に意見しやがったことはこれで勘弁してやる。お嬢さんの大事なお友達だ。ちゃんと右ではなく左腕を使って手加減してやったからな。それからオヤジにもこの件は話さない。おい後藤!」

「は、はい!」

「今日のことは誰にも話すな。何もなかった。それでいいな」

「はい!もちろんです。今日は光栄にもこの後藤の顔を見に来てくれてありがとうございます。たまたまガキが二人いましたが、小松崎組長には全く関係ないことです」

「っはは、よく分かてるじゃねーか。いやー、久しぶりに活きのいいガキに会えた。楽しかったぞ」

「はい!すんません、世間知らずのガキが失礼しました」

「ガハハハ、気にするな。それよりあのガキの面倒をよくみてやれよ。じゃ、帰るわ」

「はい!下までお見送りします」

そうして小松崎は帰って行った。

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