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闇夜に輝く

第12章 優矢くんの秘密 〜現在の出来事〜

優矢は電話を切り、まずは風俗案内所のピンキーへと歩き出した。
店前にはヒゲが綺麗に整えられたヤサ男が立っている。
その男は優矢を見つけると気さくに話しかけてきた。

「優矢くん、おはよう」

「松山さん、はざっすぅ。何か変わったことありました?」

「あるよあるよ。ここだけの話が。マーメイドって店あるじゃん。あそこが今月で閉まるらしい」

「マジっすか。また、キャストの給料が未払いとかになりそうですね。了解っす。それとなく日払い勧めときます。となると、女の子の動きが結構ありそうですね。しわ寄せで他の店にも影響あるかなぁ。いつもありがとう。松山さん」

「いいって、いいって。可愛い優矢くんの為だから。それからうちのオヤジともたまには遊んでやってね。最近寂しそうだからさ」

「はは、了解っす。ちょうど今から後藤さんと飲み行くんですよ。なので松山さんが俺のケツを狙ってて困ってますって伝えときますね〜」

「ちょ、ちょっとー。私、強引にするのは好きじゃないから安心して。強引にされるのは好きだけど…」

「だから、なんで俺が男でもいける設定なんすか。ノンケですからね」

「だって、優矢くん優しいじゃない。それに両刀って素敵な事だと思うの」

「いやいや、無いから!それに松山さん、女言葉になってますよ。一応ヤクザなんだから本性隠しといてください。色々とギャプが凄いです」

「あら、いけない。ふふ、じゃぁまた会いにきてね」

「は〜、そりゃまた来ますけどね、仕事だから」

「ずっと待ってるから」

髭面の男に恥ずかしそうにチラッと見られるのは、違う意味でドキドキする。
この松山さんとニューアクトレス主任の坂東さんはその昔同じ半グレ集団のトップとナンバー2の間柄だったらしい。
松山さんはその組織を解散した後、後藤のおっちゃんの組の組員になった。
長らく懲役に行っていて最近戻ってきたのだが、懲役に行っている間にそっちの道に目覚めてしまったらしい。
今は後藤さんの出世に伴い、引き継いでこの繁華街の雑務のまとめ役となっている。
普段は頼りになるナイスガイなのだが、最近本性がわかってしまった。
優矢的に、まぁ面白いから付き合いは変わらない。

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