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蜜の誘い

第9章 若菜と美月

「葉山さん・・30分後に指導室に来なさい・・」

金曜日の授業が終わり、帰ろうとしていたところで担任の田所先生に声をかけられた。

「若菜、何かしたの?」

数人のクラスメートが私の周りに集まってくる。

「たぶん進路の事かな・・白紙で出したし・・」

「えぇ?そうなの?」

ワイワイと周りがざわついていた。

ああ・・面倒くさい・・

指導室に行く事もだが、皆がざわついている事が面倒くさかった。

私は葉山若菜。
18歳の高校3年生です。

特段やりたい事も見つからず、進路用紙を白紙で出していた。

高3の夏休みが来週から始まるこの時期に・・

指導室は特別棟の1階にある。
特別棟に行くには昇降口と反対方向に向かわなくてはならない。

行くのも面倒になり、私の足は昇降口へと向かっていた。

「コラ!若菜ちゃん!こっちからじゃ指導室には行けないでしょ?」

階段の踊り場で、美月が待ち構えていた。

さすが美月。
私の行動は全てお見通しだ。

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