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蜜の誘い

第9章 若菜と美月

「み・・美月・・」

佐藤美月。
家が隣で同じ歳。
幼稚園の時からずっと一緒の幼馴染みだ。

私と違い美月は成績優秀。
美少女で一見おとなしそうに見えるが、空手2段の超体育会系女子高生でもある。

「若菜ちゃんの考えてる事なんて、全部わかっちゃうんだからね!ほら、回れ右!」

「ヤダ・・帰る・・」

「わ・か・な・ち・ゃ・ん?」

「・・・」

「終わるの待っててあげるから・・ちゃんと行ってきなさい?」

美月を怒らせるとあとが恐い・・
前に1度だけ怒らせた時は、朝のトレーニングに一ヶ月間も無理矢理付き合わされた・・
毎朝5時起きなんて、後にも先にももうこりごりだ。

「はぁ・・」

諦めて指導室へと方向転換した。

「行ってらっしゃぁい♪昇降口で待ってるねぇ!」

指導室では担任の田所先生が待っていた。
案の定、白紙の進路用紙についてだった。

やりたい事はまだ見つからないだけだとか・・
進学して見つければいいだとか・・

ありきたりの指導・・

1時間近くもああだこうだとお説教され、結局両親ともう一度よく考えて来なさいで終わった。

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