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あなたを三番目の男のままにすればよかった

第1章 私と彼の安寧な世界

今やっと、私に覆いかぶさる男は射精して、私から自身を抜いて力尽きて、情事が終わったところだ。彼は荒い呼吸のまま、ばったりと倒れた。
私は敢えて5cmほどの距離をつくり、背を向けて丸くなる。人肌は恋しいが、彼にくっつく必要は、ない。

「こっち、おいでよ」

彼がこちらをむいた気配がする。私のまくらと首の間にできた空間に手をいれてくるので、私は、うん、と鼻につく声を出す。

「そう、する」

腕枕をされ、少しべたついた肌がくっつく。ホテルの羽毛の布団を被り直す。

「くっつくの好きって言ってたじゃん」

そうよ。言って顔をすりよせる。
そうよ、だって、一人は、寂しいから。

どうせ彼はまだ帰っていないもの。仕事帰りに職場のダーツバーで楽しんで、今ごろそのまんまお店のソファで寝てるにちがいない。

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