ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第9章 二人だけの卒業旅行
待ち遠しかったけど、
そんなに早く来てほしくもなかった日がとうとうやって来た。
圭「ごめん。ほんとならバイクの後ろに乗せてあげたかったんだけど…。」
免許、間に合わなくて、と圭太くんは肩を落とした。
「そんなこと、気にしなくていいよ?」
僕の言葉に、圭太くんは安心したように笑った。
圭「あの…手、繋いでいい?」
「…うん。」
温かくて大きな手が僕の手を包み込むように重なる。
圭「俺…千陽さんの手、好きなんだよね?」
ぶっきらぼうにしてると、それなりにイケメンな圭太くん。
僕の手を嬉しそうに握り直す横顔は、まだあどけなさを残した幼い子供のようで可愛らしかった。
「あっ!!ねぇ、圭太くん、あれ。」
圭「え?何?」
「ほら、あれあれ!!」
僕が指差した方を必死になって目で追う。
圭「えっ!?どこ…っ」
そんな必死な彼の頬に、伸び上がってキスをした。
驚いて、固まる横顔。
圭「何だよ…もう…」
拗ねて唇を尖らせる横顔は耳まで赤くて、
僕の唇が触れた箇所を何度も擦る。
手はずっと握りしめたままで。
「ごめんごめん。ちょっと意地悪してみたくなっちゃった。」
圭「…いいけど?」
「………。」
さっきよりも、握る力が強く感じたのは気のせいかな?