ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第27章 恋する時間
「まあ…胸はないけどな?」
千「それは……ごめん。」
シュンとする肩を抱き寄せた。
「こっちこそごめん…つい。調子に乗って…」
「彼女」は少し泣きそうな顔で首を振った。
「で?何処に連れててってくれるの?」
千「ホテルのレストラン、予約してあるから。」
「じゃあ……エスコートしてよ、お姫さま?」
付き出した肘に少し困った顔をしながら腕を絡ませてきた。
千「お姫さまにエスコートされる王子さま、って……?」
「まあ……ちょっと変だけど?」
千「……かなりだと思うけど?」
「それにしても…」
千「うん?」
「いや…腹減ってるし、早く行こう。」
千「そうだね?」
すれ違う人が振り返る度、ちょっと誇らしかった。
こんなに綺麗でスタイルのいい美人を連れて歩いている、ってことが。
確かに「彼女」は彼女じゃないけど、
俺にとっては最高の「彼女」だ。
「ね、予約してるレストラン、ってどんなとこ?」
千「ふふっ。着いてからのお楽しみ。」
笑った彼女の腰を抱き寄せ、キスをした。