ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第1章 天使…時々、小悪魔?
千「いやだ。この方が楽だし?」
と、また、足を組み替えた。
「お願いだから…」
千「お断りします!」
俺の口を塞ぐように、
千陽さんは手作りのトリュフを俺の口に捩じ込んだ。
千「美味しい?」
口にトリュフを含んだまま首を縦に振る。
千「じゃあ、シャワーでも浴びてこよっかな?」
千陽さんはよっこらしょ、と、俺の膝から飛び降りた。
千「あ、そうだ!」
歩き出してすぐ、こちらを振り返る。
千「悪いけど、今日はソファーで寝てくれる?」
「え?」
千「お休み。」
シャツは洗っておくから、と、
千陽さんはヒラヒラと手を振りながらバスルームに消えた。
「…悪魔だ。」
キッチンのテーブルに突っ伏し、大きく息を吐く。
ふと、股間に目をやると、
窮屈そうにズボンを押し上げる俺のモノが目に止まった。
「…しょうがない。自分でやるか…。」
そう、一人ごちながら、
千陽さんが俺のために作ってくれた手料理の数々を一人黙々と胃袋に収めていった。