ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第2章 マドンナ・ブルー ①
圭太side
慎「で、一人寂しくトイレで抜いてたと?」
隣で笑いを必死でこらえるあまり涙目な親友・大木慎之介に、背中をバシバシ叩かれながら俺は慰めてもらっていた。
慎「やりますなあ、お宅の姫も?」
「…笑ってんじゃねぇよ。」
慎「いや…だって、散々煽られた挙げ句、一人で寝ろ、って言われたんでしょ?」
「………。」
そう、俺はあのあと、トイレで一人寂しく処理をしていた。
そして、千陽さんがバスルームから出るのを待って俺もシャワーを浴び、
俺がバスルームから出てきた頃には部屋の中は真っ暗で、
一人寂しくソファーで朝を迎えた。
非常勤で、片道一時間半の私立の学校で美術の講師をしている千陽さんはさっさと朝食を終え、俺が起きてくる頃には影も形もなかった。
慎「そんなキャラには見えなかったんだけどな?千陽センセ、って。」
そう、慎之介は千陽さんが美術の講師として採用されてからは千陽さんのことをそう呼んでいた。
別に千陽さんの教え子でも何でもねぇのに…。
俺と千陽さんの出会いは四年前に遡る。
当時、高校に入ったばかりの俺は、
頑張って勉強してやっと入れた学校にも関わらず、
勉強について行けなくなくなり、学校にも行かず、真っ昼間からコンビニの前で見るからにガラの悪そうな奴らと屯するようになっていた。