
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第2章 マドンナ・ブルー ①
そんなある日、
俺はいつもの仲間といつものようにいつものコンビニの前で屯していた。
すると、仲間の一人が俺にタバコをすすめてきた。
俺は、初めて口にするタバコに恐る恐る手を伸ばし、口に咥え、仲間に火をつけてもらった。
ふぅっと煙を吐き出すと、イヤなことすべてがその煙に巻かれて天にのぼっていくみたいな気がして、
この時ばかりは気持ちが落ち着いた。
が、それもつかの間。
俺の手の中にあったタバコは、不意に横から伸びてきた誰かの手によって奪われてしまった。
誰だ、と思い振り向くと、
コンビニの制服を着た、見た目、俺より少し上かタメぐらいの顔立ちの、
小綺麗な顔をした店員が睨みをきかせていた。
「君、高校生…だよね?」
何だよ?と、負けじと睨み返すが、店員は俺たちの人数に怯む様子もなく、側にあった灰皿にタバコを捨ててしまった。
「昼間からこんな人目のつく所で…そうでなくても、高校生が堂々とタバコ吸ってるのはどうか、と思うけど?」
それを見て、仲間の一人が立ち上がりその店員に詰めよった。
「おいおいおい、にーちゃん、何やってくれてんだよ!?」
「何、って、見ての通りタバコ、灰皿に捨てたんだけど?」
「はあ?捨てた?」
「そう。捨てたの。君たち未成年には必要ないでしょ?」
