ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第12章 薔薇を纏った悪魔
部屋が解錠される音が聞こえたのと同時に、それまで大人しく僕の後をついてきていた圭太の手首を掴み、ベッドの側まで引っ張ってゆく。
ベッドの端に圭太を座らせ、その体をゆっくり押し倒しながら体の上に覆い被さった。
圭「千陽さん…」
「君が欲しい……。」
両手で顔を持ち上げ、今にも泣き出しそうに震える瞼に唇を押し当てた。
「花だとか、豪華な食事とかじゃなくて…」
そしてもう片方の瞼、鼻、頬、首筋へと位置をずらしながら圭太の服を脱がせてゆく。
「僕はね、圭太。君が欲しいんだ。」
圭「んっ……あっ…」
シャツの襟元を開き、圭太の鎖骨に吸い付く。
程よく日焼けした肌にほんのりと色づいた跡。
唇を離し指先でその跡を辿るも、それはすぐに跡形もなく消えて無くなってしまっていた。
証(しるし)をつけたいのに…
圭太が僕のものだ、って証をつけたいのに、こんなにも呆気なく消えてしまうなんて……。
元カノ、という過去の亡霊が圭太を連れていかないように、焼き付けてやりたいのに…。
圭「あ……の…」
「なに?」
圭「俺…あなたに…抱かれるの?」
彼の顔を見下ろせるように体を起こした。
「ダメ?僕だって一応男なんだけど?」
汗で額に貼り付く彼の髪を掻き上げ笑いかけた。