ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第15章 訪れる危機
圭太side
女子で賑わう昼下がりの大学内のカフェテリア。
俺はアイスラテを口にしながら人を待っていた。
ボーッとしながらストローを咥えているとズズッと空気を吸い上げる大きな音がして、隣のテーブルに屯ってる女どもの注目を浴び、慌てて口からストローを離した。
小さく舌打ちしながらカップを脇に避け彼女たちから顔を逸らしたその時だった。誰かの手が俺の視界を塞いだ。
俺はその手がてっきり待ち惚けを食らわせた奴の手だと思い込み、乱暴に手を剥がした。
「おい、女子みたいなことしてんじゃ…」
振り返ると、してやったとばかりにほくそ笑む顔。
でも、そいつは俺と待ち合わせていた奴じゃなかった。
「凛々子、お前こんなとこで何やって…」
凛「圭太がどんなとこで勉強してんのかな?と思って?」
俺の隣で笑う凛々子から遅れること暫し、慎之介が両手の平を拝むように顔の前に合わせながら現れた。
凛「何?私がいちゃいけない?」
「…ああ。」
凛「ぷっ。はっきり言うね?もしかしてこの間のこと怒ってる?」
半笑いで俺の顔を覗き込んでくる凛々子に心底ムカつく。
凛「だってぇ、久しぶりだったんだもん。声かけちゃうよぉ。」