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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第15章 訪れる危機



「ほー、それはそれは…」



ま、せいぜい二人の時間を満喫しとけよ?



凛々子や俺、もしかしたら、千陽さんに言い寄ってくる誰かに邪魔されないようにな?



「圭太、幸せになれよ?」



鼻を啜りながら圭太に抱きつく。



…よく言うよ、俺も?



そんなこと、一ミリだって思ってもねぇくせに?



「じゃ、俺、行くわ?親父に店番押し付けて出てきちまったから?」



笑顔で手を振る圭太を残し帰路に着く。



それを見計らったかのように俺の携帯が鳴った。



凛『話、終わった?』


「何だよ?まだ家に帰ってなかったのかよ?」


凛『慎之介、アンタにお願いがあって…』


「何?」


凛『電話じゃダメ。直接会って話したいの。』


「…もしかして…圭太のことか?」


凛『さあ…ね?』



ウフフ、と腹ん中でどす黒いものを小出しにするみたいに凛々子は忍び笑った。



「どこ行けばいい?」


凛『あら、話が早いわね?』



凛々子が圭太に未だ未練たらたらなことぐらい分かってる。



だから、そいつを利用しない手はない、って、頭ん中でもう一人の俺が囁く。



「ワリい、親父、急用が出来ちまった。」



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