ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第17章 甘くて苦い媚薬
僕は重苦しい気持ちのまま職員室を出て美術室へと向かった。
今度の休みか…と、美術室の前に来るまで何度ため息をついたか分からない。
圭太によれば、僕らが一緒に住むはずの部屋はもう大体どこにするかは決まっていて、後は僕次第だ、と、笑った。
「僕が嫌だ、って言ったら?」
圭「そこは止めとく。」
じゃあ…
一緒に住むのはイヤだ、って言ったら君はどう答えるんだろう?って、少々意地悪なことを考え、自虐的な笑みが零れた。
そんな考えごとをしながら鍵穴に鍵を差し込むと何やら違和感を感じた。
あれ?開いてる?
生徒が閉め忘れたのかな?
恐る恐るドアを開けると、誰かの話し声が準備室から聞こえた。
誰かいる…。
足音を忍ばせ近づくと、その声の主は女性で、時折クスクスと忍び笑う。
女子生徒が授業を抜け出し、お喋りをしようと忍び込んだんだろう。
注意しようとドアを少し開けた時、忍び笑う声とともにリップ音が聞こえてきて思わず足を止めた。
「ん……ぁ…ダメぇ…」
えっ…?
「ダメじゃないでしょ?こんなにヨダレ垂らしといて?」
さらに粘りつくような水音が重なり、
喘ぐような声がさらに艶を増した。