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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第18章 Pure White



圭太side


これから何かと忙しくなるだろうからと、



次の日に早速、慎之介に頼み込んで猫を譲ってくれると言う人に連絡をとってもらい、千陽さんの仕事が終わるのを待って会いにいった。



もう何匹かは引き取られていて、残りは黒とキジトラが二匹の三匹だけで、



千陽さんは三匹を代わる代わる嬉しそうに抱き上げては何やら話しかけていた。



「どう?決まった?」


千「うーん、黒のこの子にしよう、と思うんだけど?」



どう?と、抱き上げ、その仔猫を俺の顔の近くに寄せた。



「いいんじゃない?」


千「じゃ、この子に決めようかな?」



千陽さんのジャケットのボタンを一心不乱に舐め回すソイツの頭を撫でた。



「でも、何で黒?」


千「ほら見て?この子の目。」



綺麗でしょ?と、こちらに向けた子猫の瞳は、淡く透き通ったブルーだった。



「へぇ…カッコいいな?こいつ?」



指先で小さなアゴを擦ると、気持ち良さそうに喉を鳴らした。



千「名前は『けいた』でいいかな?」


「は?何で俺の名前?」


千「ひらがなで『けいた』だから、違うよ?」


「いやいや俺の名前でしょ?」


千「違う、って?ねー?『けいた』?」



千陽さんの呼びかけに仔猫がニャア、と小さく答える。



千「ほらあ。気に入ったみたいだよ?」



千陽さんの手から俺の腕の中に渡された黒猫の腹を何気に見た俺は、千陽さんにある事実を伝えた。



「千陽さん、こいつ、付いてない(?)けど…って、いって!!」



偶然なのか、俺の鼻の頭を猫のツメが引っ掻いた。


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