
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第18章 Pure White
千「もう圭太、ってば何やってるの!?」
千陽さんは慎之介に絆創膏を貼られてる俺を見て苦笑した。
慎「猫と言えど女子なんだから。ホント、デリカシーのないヤツだな?お前は?」
ねー?と、千陽さんと慎之介は顔を見合わせた。
「うるせぇな。知らなかったんだからしようがないだろ!?」
慎「だから、ってあれはダメだって?」
ねー?と、慎之介はいつの間にか腕の中にいた仔猫を覗き込んだ。
慎「で?結局、名前、決まったの?」
千「まだ、決まってないんだ。」
慎「やっぱ、『けいた』でいいんじゃね?」
千「でも、女の子だし…」
うーん、と難しい顔で腕組みをする二人に、余計なことかもしれないけど、一応、言ってみた。
「『ちはる』とかは?」
千「えー?僕の名前?」
呼びづらいよ?と顔をしかめる。
じゃ、こいつが晴れて『けいた』と命名された暁には俺が呼びづれぇじゃん?
…ってのは、辛うじて抑えた。
千「じゃあ…『ベル』は?」
慎「あっ!!あの、妖怪人間何とか、ってヤツにちなんで?」
…慎之介、惜しいけど違う。
慎「でも、何で?」
千「この子の毛並み、艶々して凄く綺麗だから。」
慎「ああ、ベルベットの『ベル』ちゃん、ね?」
と、そのベルベットの『ベル』ちゃんにチュウして引っ掻かれる慎之介。
俺と同じ位置に絆創膏を貼る羽目に。
