
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第21章 薔薇と百合の一夜 ①
昼休み。
まだ鈍い痛みの残る腰を引き摺るように美術準備室へと向かった。
すると、美術室のドアに凭れるようにして、パックの牛乳をずるずると啜る加納雅に出会した。
「それだけじゃ倒れるよ?育ち盛りなのに?」
雅「ふふっ。心配してくれるの?」
今日に限って鍵が中々開かないことに少し苛つく。
雅「ね…あれから律子さんと何か話した?」
「うん。君の悪口を、ね?」
雅「そう。やっぱり嫌われてるのね、私。」
「なんて、言ってるわけないでしょ?そんなこと?」
やっと開いたドアを思い切り開けた。
雅「じゃあ、何話したの?」
「君に付き纏われて困ってる、って。」
雅「やっぱり、悪口じゃない?」
彼女は美術室のドアを後ろ手でピシャリと閉めた。
「そうじゃなくて!僕はただ、田嶋先生が困ってるから…」
雅「千陽さん、まさか、律子さんとデキてるの?」
「え?何言って…」
雅「だって、最近、保健室でよく見かける、って聞くし。さっきも…律子さんから私を遠ざけようとしてるんでしょ?」
「あれは偶々だよ?今日は朝から体調がよくなかったから…」
