ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第23章 月夜に霞む
千「ちょっ…!いつまで見てるの!!」
「いてっ!!」
突然伸ばされた綺麗な手で顔をぺちっと叩かれる。
千「もう…見られたくなかったのに…」
その呟きにも似たボヤきに俺はならば、と、
その、美しい人の身体を持ち上げた。
千「ち、ちょっと、何?どこ連れてくの?」
「汗かいたし。シャワー浴びようと思って?」
…なーんて、言うのは建前で、
そのままバスルームへと彼の体ごとなだれ込んだ。
「座って?洗ってあげるから。」
千「う…うん。」
訝りながらも、大人しく椅子に座ってくれる。
初めにサラサラの髪を洗い、ぬるめのお湯で流してやるといくらか表情が和らぐ。
でも、ボディソープを泡立てる俺を見る目は、何かするつもりなんじゃないか、って目になっていた。
もちろん、そのもりだったし…。
千「ぁ……っ」
泡を纏わせた手のひらを、首筋から胸元へと滑らせ、両手のひらで胸の突起を転がすように動かすと、彼の唇からは甘い声が漏れた。
千「ち…ちょっと、何して…」
「何…って、体、洗ってんだろ?」
逃げようと思えば逃げられたのに、
無意識に何らかの快感を期待しているのか、彼は逃げようとはせず、
逆に、俺に体を預けるように凭れ掛かってきた。