
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第26章 対峙
友達とご飯を食べてくるから、と圭太に連絡すると、どこの誰と?とかどこで?だとか質問攻めにされた。
正直に言うかどうか迷ったけど、職場の同僚に飲みに誘われた、ということにしておいた。
信じてくれたかどうかは分からないが、本当のことを言ったら止められるか、一緒に行く、とか言い出しそうな勢いだったし。
僕はいつも通り、誰もいなくなった美術室の戸締まりをして学校をあとにし、指定された場所に向かった。
向かった場所は、ここであってるのか、と、本人に何度も確認しようかと思ったぐらいの一流処だった。
ドレスコードはないから気にしないで?ってとか言ってたけど、
何処かでそれなりに見えるジャケットでも買ってくればよかった、と後悔した。
何度もここであっているだろうか、と不安になりながらエレベーターを降り歩く。
指定されたレストランの入り口で名前を告げると、待ち構えていた黒服に個室に案内された。
凛「今晩は。島崎センセ?」
「……どうも。」
不敵に笑いながら出迎えてくれた本人でさえ白のタートルネックのセーターにネイビーのジャケットを羽織っただけ、という出で立ち。
凛「私も今来たところなんです。」
相手も緊張しているのか、
彼女は聞いてもいないことを口にした。
