ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第26章 対峙
「ねぇ圭太。」
圭「ん?」
「週末、時間作れる?」
圭「うん。大丈夫だと思うけど……?何?どうしたの?」
口を動かしながらこちらを見る圭太の口元のご飯粒に思わず吹き出してしまった。
圭「……何だよ?」
「付いてるよ?ここ。」
唇の端を指差すと圭太は慌てて口許を拭ったが、中々取れない。
「……しょうがないな。」
困ったように笑いながら圭太の方に手を伸ばすと、
その手を圭太に捕まえられてしまう。
圭「何企んでるの?」
「え?」
圭太は捕まえた僕の手を絡めとり僕を自分の方へと引き寄せた。
圭「……週末のお誘い。」
「ふふっ、内緒。」
圭「へぇ…」
顔を近づけてきて、キスしようとする唇の前に人差し指を立てた。
「楽しみにしててよ?」
圭「……分かった。」
圭太は顔をしかめため息をついた。
「そうそう。その日はちゃんとした服装でね?」
圭「スーツ、とか、ってこと?」
「うん。」
にっこり笑って、圭太の口元のご飯粒をとり、口の中に放り込んだ。