ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第7章 恋という名の下心
圭太side
後日、慎之介のバカから、
あの人が直接慎之介の家に修理代を支払いに来て、
俺の話をしながら駅まで送り届けてやった、との話を聞かされ、内心焦っていた。
「で、どこまで喋ったんだよ?」
慎「ん?お前がろくでもない男だ、って懇切丁寧に語って聞かせてやったけど?」
ま、潔くフラれろ、と、
バシバシ背中を叩かれ家路についた。
…ったく、ふざけんじゃねぇよ、あのバカ!
ただでさえ、くそ真面目な性格なんだから、
女を取っ替え引っ替えしてた、って聞いたら…
千「最低…」
冷たく吐き捨て去って行く華奢な後ろ姿に、
後ろから大きな鉄槌を頭に振り降ろされた気分になる。
そうして通りがかったコンビニ前。
今日はいるのかな?
大通りを挟んだ向こう側にある店内を覗き込む。
…見えるわけないか。
誰に当て付けるわけでもなくデカいため息を吐いてみせた。
「どうしたの?ため息なんかついちゃって?」
この声、どっかで…
恐る恐る振り返ると、先ほどの俺の妄想の中で、
氷のような捨て台詞を残し去っていったあの人が、
自転車を押しながら、笑顔で俺の側へと近づいてきた。