ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第7章 恋という名の下心
「あっ…あの…今日はもう?」
千「うん。早番なんだ。」
「そ…そっか。」
笑ってる……。
しかも、その笑顔からは微塵の嫌悪感も感じ取れない。
千「…?」
もしかして、そういうことに動じない人?
若しくは、俺に興味なし、ってか。
千「どうしたの?怖い顔しちゃって?」
「えっ!あっ…ごめん。」
千「そうだ!!このあと時間ある?あ…でも、帰って勉強しなきゃ、だね?」
心底残念そうに見えるけど、気のせい?
千「引き止めてごめんね?じゃ、勉強がんばって!」
と、サドルに跨がろうとする彼を呼び止めた。
「少しぐらいなら…気分転換になるし?」
千「ホント?じゃ、奢っちゃう。」
何がいい?と、少し首を傾げて笑いかける仕草にどきどきする。
千「ここのアイスクリーム、好きなんだよね?」
と、さっきの笑顔に輪をかけて、とびきりいい顔で彼はアイスクリームにパクついた。
「そっ…そうだ…ね?」
俺はといえば甘いものが苦手で、
引きつった笑顔のまま、
背筋を、冷や汗が滑り落ちてゆくのを感じていた。