
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第7章 恋という名の下心
千「あ……」
「アンタに俺の何が分かんだよ?大事な人が自分のせいで死んだんだぞ?」
そう…
俺はあの日を境に、大切な人も、夢も失ってしまった。
自分のせいで。
それを分かる、だと?
共感できる、だと?
社交辞令みたいなこと言ってんじゃねぇよ!!
どいつもこいつも言葉だけの同情の安売りなんかしやがって、
そんなもんで満たされるワケねぇだろ!!
「ね…ヤらせてよ?」
千「え……?」
「だって共感できるんでしょ?だったら、どうしたら俺が満足すんのか分かんだろ?」
千「冗談…だよね?」
顔を逸らせないようにアゴを掴む。
「マジですが。何か?」
怯えるように見開かれた目、小刻みに震える半開きの唇に思わず口角が上がる。
千「え…だって、僕ら…」
「あれぇ?まさか、男同士だから有り得ない、って、思ってました?」
ただでさえ色の白い彼の顔が、さらにその色を失ってゆく。
「ね?優しくしてやっからさ?」
千「や……」
拒絶を象ろうとする唇を、有無を言わさずに塞ぐ。
そして、尚も俺の体を押し退けようとする両手を封じるように壁に張り付けた。
