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ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜

第7章 恋という名の下心



千「あの…」


「つまりはそういうことでしょ?」


千「ごめん…。」


「謝る必要なんてないよ。普通じゃん?」


千「そ…だね。」



ほっとしたような、でも、少し寂しそうに笑う。



…何だよ?期待しちまうだろうが?



泣きそうになって慌てて顔を逸らした。



千「慎之介くん…大木くんから君の話を聞いて、本当はスゴく気が引けたんだ。」


「俺の話?」


千「お兄さんが亡くなった、って話。」



兄貴の……?



ってことは、同情されてんの?俺?



俺の境遇には同情するけど、ってやつ?



千「何だか…自分と重ね合わせちゃって…」



その時だった。



俺の中でぷつりと、



何かが音を立てて切れた。


「……どこがどう重なんの?」



俺の声のトーンに、驚いたような眼差しを向ける。



「ね…教えてくださいよ。どこがアンタと同じなのか…。」


千「あ……。」



立ち上がった俺を見上げる彼の怯えたような目。



まるで、逃げ場を失った小動物みたいで笑える。



「ね…教えて?どの辺に共感してくれたの?」



後ずさる彼を壁に背中がくっつくまで追い詰め、



さらに逃げ道を塞ぐように顔の横に両手を付いた。


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