ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
ゲーセン?
千「ダメ?」
テーブル越しに身をのりだし、上目で俺を見る仕草にどきっとした。
計算…してるわけないよな?
千「実家にいた時、ゲームセンターはガラの悪い人たちの溜まり場だから行くな、って言われてたの。」
そうなんだ?
見るからに、育ちの良さそうな気はしてたけど。
千「ね?付き合ってよ?」
「い、いいけど?」
俺はここから一番近いゲーセンへと彼を連れていった。
千「あー、楽しかった。」
と、UFOキャッチャーでゲットしたマスコットを弄びながら彼は笑った。
千「あ、これ、ありがと。」
「うん。」
千「それからこれも?」
ピラピラとプリクラの写真もちらつかせた。
千「この圭太くん、可愛い♪」
「そう言う、ちは…島崎さんも中々…」
千「可愛くないっ!!」
唇を尖らせ、俺に戦利品のマスコットを投げ付ける。
千「圭太くん。」
「は、はい?」
千「今、『ちはる』って言おうとしたでしょ?」
唇を尖らせたまま俺に近づいてきて、
投げつけられ、俺が危なげなくキャッチしたマスコットを奪い取った。