
ドロップ・オブ・ロゼ 〜薔薇の涙〜
第8章 もっと、君を知りたくて。
千「ね、聞いてる?」
「え?ごめん、何?」
千「体調悪いんならもう帰る?って聞いたんだけど?」
「いや…平気。」
千「でも、上の空じゃん?」
「…ごめん。」
具合が悪かった、てか…
この人の隣であんなエロい映画見てたら…
…ヤバいだろ?
だから、エンドロールが始まってすぐトイレに駆け込んだ。
今をときめく人気女優と国民的アイドルが主演してる映画だって高を括っていたら、
かなり本格的な濡れ場だったからなあ。
それはそうと、
この人は、俺の隣でこんな映画見てて、何とも思わなかったのかな?
「ねえ、あの映画…」
千「ああ、ちょっと大人向きだよね?僕も目のやり場に困っちゃった。」
へへ、と舌をペロッと出した。
千「具合が悪くないんなら、付き合ってほしいところがあるんだけど?」
一人じゃ入りづらくて、と苦笑する。
『盛り上がった後はラブホだろ?』
俺ってば、こんなときに慎之介の言葉を思い出すなんて…。
自分で自分をぶん殴りたい衝動に駆られる。
千「ゲームセンターに行きたいんだけど?」
