
兄と妹
第2章 最悪な再会
「千紗…千紗…。」
誰かが私の名前を呼んでいる…。
「千紗!。」
私は大声にびっくりして意識がハッキリした。
目の前で悠が口をすぼませて不機嫌そうな顔をしていた。
「悠…。」
「もーあたしの話聞いてた?次移動教室だよ!。」
すっかり忘れていた。
私は悠に呼ばれるまでずっと下の方を向いてボーッとしていたらしい。
「あんたどうしたの?具合悪いの?。」
お兄ちゃんのことで頭が一杯だったなんて言えない。
私がお兄ちゃんのことを本気で好きかもしれないということなんて親友の悠にすらもとても言えなかった。
「寝不足だよ寝不足!大丈夫だよ~。」
「ほんとか~?今日はいつものお兄さん自慢ないし、お兄さんと喧嘩でもしたの?。」
「違う違う!ありえないって~。」
私は笑ってごまかした。
