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兄と妹

第6章 初めてのデートは雨模様



~千紗視点~


千架が気絶してしまい、私は千架を起こした。

…が、なかなか起きず、係の人に手伝ってもらいながらようやくベンチにたどり着いた。



正直人の目が気になって恥ずかしかったが、寝たふりをして向けられる視線を見ないようにした。

だが、目を閉じていても耳は塞げていないので、



「あのカップル彼氏も彼女も顔いいよね!2人共疲れて寝てるのかな?」


「え、何それ可愛い~。」



という声が聞こえてきた。
嬉しいという気持ちもあるが、兄妹とバレてないことへの安堵感もあった。
だがもちろん、




「ねぇ、あの寝てる男の人、カッコ良くない?」


「ほんとだカッコいい!」



といった、千架に向けた声も聞こえてきた。



確かに千架は誰が見てもカッコいいと思う。
自分の兄であり恋人でもある人が周りからいい印象を受けているのは嬉しいことだが、正直聞きたくない。



なぜかというと、私達は兄妹なのに付き合っているという、本来あってはならない行為を今している。

だから、千架が他の女の人を好きになってしまうというひどく正当なことが起きる可能性が頭によぎってしまうのだ…。





しばらくして千架はようやく目を覚まし、私達はメリーゴーランドに向かった。



…確かに私達は許されないことをしてる。
でも、今は楽しまないと…一緒にいられる時間を大事にしないと。

そう考えていると、しばらくは夢を見ていられる気がする。

恐らく千架も覚悟の上で私と付き合っているんだから、私だけが色々背負っている訳じゃない。


だから私は千架と乗り越えていくんだ。
…たとえどんなことが起こったとしても。

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