
兄と妹
第3章 悩みと不安
「ありがとう…ごめんね…。」
「気にしないで!オレ、千紗ちゃんの恋応援してるから!だから、友達としてこれからもよろしくね。」
私は笑って頷き、涙を拭った。
さすがに好きな人がお兄ちゃんだということはとても言えなかった。
ちなみに物陰でこの告白現場の全てをどこか悲しそうな顔で見聞きしていた人物がいた。
その人は、他ならぬ悠であった…。
もちろん千紗達はそれには気づいていなかった。
「だいぶ遅くなったから家まで送るよ。」
「え、そんな!1人で帰れるから大丈夫だよ!。」
「呼びつけておいて1人で帰ってもらう訳にはいかないよ。」
修弥くんはなんて紳士なんだ…。
私は本当に修弥くんに申し訳なかった。
修弥くんはきちんと家まで送ってくれた。
お兄ちゃんが修弥くんのように普通のクラスメイトだったら普通のカップルでいられたなと思うと切なかった。
「千紗ー!ただいま!。」
修弥くんと別れて中に入ろうとした時、お兄ちゃんが帰ってきた。
「一緒に帰ってたあの男の子誰?まさか彼氏?。」
「違うよ!ただのクラスメイトだよ~。」
「そっか…。」
なら良かったとお兄ちゃんの口が動いたような気がしたが、私は気のせいだと思い、聞かなかった。
家ではやっぱりお兄ちゃんとのぎくしゃくした感じは変わらなかった。
