
兄と妹
第4章 水族館デート
クラゲがたくさんいる水槽が10個と真ん中ベンチがあるというほんとにシンプルなゾーンだった。
「ちょっとここに一緒に座らない?。」
園村はベンチに座り、オレに隣に座るよう促してきた。
オレは拒むことなく隣に座った。
「ほんとに大丈夫?足が疲れちゃった?。」
「うん、大丈夫…。」
何か話したそうな顔をしているのはわかるが、なかなか聞けなかった。
何を話せばいいかわからなくなり、オレはクラゲのいる水槽をボーッと見ているぐらいしかできなかった。
「篠亜くん…あのさ…ちょっとお願いがあるんだけど…。」
「うん、何…?。」
「あのね…。」
園村はだいぶ躊躇っていた。
急に黙ったと思ったら急に話しかけて急に躊躇いだしたので、かなり心配になった。
「千架くんって呼んでいいかな…?だから私のことも下の名前で呼んでくれる…?。」
「…うん、いいよ。綾子ちゃんでいい…?。」
園村…いや、綾子ちゃんは嬉しそうに頷いた。
なんだ…そういうことか…。
にしてもやっぱり可愛いな…こいつって男心をくすぐる何かを持ってるんだよな…。
