
兄と妹
第6章 初めてのデートは雨模様
~千架視点~
あ、やっぱり無理、怖い。
そう思った瞬間、ジェットコースターが滑り降りた。
もう声も出ずに涙が出そうだった。
その時、千紗が大声で叫んでいた。
それも楽しそうに。
千紗があんなに楽しそうに…ジェットコースター選んで良かった…。
そう思った後、オレは意識を手放していた。
どれくらい時間が経ったのだろうか…。
オレは目を開け、起き上がろうとした。
「千架!ごめんね、大丈夫?」
「あ、ああ…ごめん…完全に意識がなくなってた…。」
…?千紗の顔がオレの顔の真上に…てことはまさか…。
そう、千紗がオレを膝枕してくれていたのだ。
嬉しさと恥ずかしさでオレは顔が真っ赤になり、慌てて起き上がった。
千紗をまもらなければならないのに情けない…。
自分への言葉はもうそれしか浮かばなかった。
なんとかこの失態を挽回したい…。
「オレはもう大丈夫だよ。じゃあ今度はどこに行こうか?」
そう言い、千紗の方を向いた。
なぜか千紗は顔を伏せていて、顔がよく見えなかった。
「千紗…?」
「あっ!なっなんでもない!!じゃあ私、あれ乗りたい!!」
そう言って千紗が指を指したのは、メリーゴーランドだ。
なぜ顔を伏せていたのかが気になるが、オレは千紗と一緒にメリーゴーランドへ向かった。
